コラムファイル

第115回
「やっぱり女性は強いなぁ」
私は、幼少期に底引き網船で漁師の手伝いをしていたことがありました。この漁では、水深約100-200mの深海から網を引き上げるので、何十種類もの魚が船の甲板に打ち上げられます。打ち上げられた魚は、ちりとりや素手で必要なものと不必要なものに分けるのですが、やはりこの時にいわゆる毒魚と呼ばれる魚達も分類しないといけません。今回はその時に起こった事件の話です。

その日は、今の時季のような真夏日。網を巻き上げるローラーがいきなりうなり出したので、「大きな魚が掛かったのでは?」と船長が網の様子を見るために覗き込むと、当時の私(6歳)よりも大きなエイが掛かっていました。このままでは、網もローラーもダメになってしまうので、一旦止めてから大人3人で引き上げます。引き上げられたエイは甲板で大暴れ!エイは、毒のある尻尾を切ってからリリースするのがこの船のルールなので、誰かが尻尾を切らないといけないのだが、あまりの巨大さに皆引き気味…勿論私は、1番離れた所で様子見(笑)。しかし、たよりの船長も、何時の間にやら私の隣にいるではないですか。きっと、エイが静かになってから行動するのでしょう。皆が静観し始めました。「じゃあ早めの昼食かな?」と私が思っていると、船長の奥さんが斧を片手にエイに忍び寄っているではないですか。えっ!?と驚いたときには、尻尾に向かって「キィヤァーーッ」と叫びながら斧を振り下ろしていました。だが、女性の力では特大エイの尻尾は一発で切れません。減り込んだ斧を外そうと奥さんが近付いた時に…「危ない!」と叫んだときにはもう遅く、奥さんの腕にエイの毒棘がぐさりといっていました。

毒棘はすぐに引き抜きましたが、病院に行かないといけません。ですが、網を引き上げてから港に着くまでに、1時間以上は掛かってしまいます。毒が回らないようにまずはホースで腕を縛り、船長が網の高速巻きをしようとすると、「待って!大丈夫だから続けましょう」と奥さん。しかし、このままでは大変危険なので続けるわけにはいきません。だが、ここで船長が意外な行動に…。


と、今回のコラムはここまで。船長の次の言葉は想像できると思いますが、その後がまだまだあるんです!次回更新をお楽しみに!

(編集部S)



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