Turi@Naviコラム

第10回
「釣れた魚にエサはやらない」

「釣れた魚にエサはやらない」。
　成就した後の面倒はみない、といった意味で使い古された言葉である。
　だが、いち釣り人としてどうも釈然としないものがある。
　何かが引っ掛かっているのだ。
　一面では確かに当たっているものの、もっと前向きに、その次のステップとして考えたい。
　『小魚を釣るエサは必要ない』。
　この表現なら、ほんの少しだが想いは近付く。
　けっして釣り上げた後の面倒をみない訳ではない。
　まだ先の、さらなる獲物のことで頭がいっぱいになるのだ。
　目標は、すでに釣り上げた魚ではなく、次に食らいつく魚に移っているのである。
　まだまだ、いつまでも。
　たぶん記録物を獲ったとしても“釣れた小魚にエサはやりたくない”のだ。
（旬）